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困った

夢に横尾忠則

昨晩は頭がしびれたんで氷枕をして眠った。そのせいかどうかはさだかでないが、夢枕に横尾忠則先生がお出ましになった。現でも長期間ご尊顔に触れていないので、夢中のセンセイはちょっと怪しげなお顔であったが、口を尖らせてぼそぼそと小さな甲高い声での話しかたは確かにセンセイなので、この機会に一筆いただこうと、用紙を出して丁寧にお願いした。センセイは気乗りしない感じだったが、用紙を受け取られ、ごらんになって怪訝な顔をされた。わたされた色紙は黒のケイですでに線画が描かれた塗り絵だったのである。渡したのはあたしだが、夢のことなので作為があったわけではない。横尾センセイはぼやきつつも少し塗り絵をはじめられたが、しばらくして「やっぱり僕にはできません」と紙を返された。見ると少しだけ塗った部分があったので、ま、これでもいいかとほくそえんだ。
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