cavelog

困った

酸素会社

あたしらが小学生の頃、昭和40年代の日本というのは今の中国みたいにイケイケの成長期だったもんで、ガキの着ているものはボロボロだが、テレビが各家庭に行き渡ったりマイカーを持つ人も増えて来たり、ちょっとずつ豊かな感じが生まれつつあった。そのかわりに環境なんてのはあっちゃに捨て置かれ、川や空気なんてのは今より相当酷かったんじゃないか。ウチの近所にも化学工場があって、白い煙と変なニオイと泡だらけの排水をたれ流していた。ちゃんとした社名はあるのだが、爺さんは「酸素会社」と呼んでいた。ガキだったあたしが何を造る工場かと訊ねたら「石鹸じゃ」と答えてくれたが、たぶん苛性ソーダ関係だったんだろう。
マルセイユ石鹸ビッグバー
ラピスラズリ 神秘の石